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町長室へようこそ No.166

山づくりに森林環境譲与税を活用

 10月12日、国有林の所在する市町村長が集まり、森林管理局や管内の森林管理署と国有林の管理経営や森林・林業を取り巻く諸問題について意見交換をおこなう有志協議会が北見市で開かれました。

 協議会での私からの挨拶で、森林・山村地域の町村の自治体関係者の悲願として、約30年に渡る粘り強い運動を経てようやく実現した貴重な財源である「森林環境譲与税」が先行して令和元年度からスタートした。令和6年度からは森林環境税として国民からの徴収がスタートする。その際今年度までの活用実績に注目が集まる。配分された譲与税が活用されないで積まれていることが、新聞報道や政党においても問題視されており、批判や誤解を招かないようにしっかりと有効活用しなければなりません。森林整備に対する国民の理解を促進していく必要があると述べました。

 さて、アメリカの住宅建築ラッシュによるウッドショックが一段落し、国産材、製材価格は少し落ち着きを見せていますが、国産材の需要は高まっています。木材の自給率が20年前は18%であったものが、現在40%まで上昇しています。 農畜産物などの食料自給率が38%ですから、自給率では木材が食料を上回ってきたのです。これはコロナやウクライナ戦争による日本を取り巻く背景の変化も、もちろんありますが、大きな要因は戦後植えた木が伐期(利用適期)を迎えていることにあります。

 トドマツやカラマツは植えてから何回かの間伐を経て、順調に成長すると概ね60年前後で伐採し利用されます。滝上町でも昭和29年の洞爺丸台風で壊滅的な被害を受けた国有林が、植林され60年余りたち伐期を迎えています。

 一方、民有林の中には植林はされたものの、その後間伐などの手入れがおこなわれず、長く放置された山林、いわゆる未整備林も一部にみられ、このような山林が本町の人工林の27%も占めています。こういう山林は、切っても経費が販売代金を上回り、赤字となることから結果として放置が続くことになります。このような木はCO2の吸収は望めません。

 今回、森林組合からこのような山林の解消対策として、「森林環境譲与税」を活用した補助要望があり、樹木の状態によって幾通りかの整備手法を進め、未整備林の経済性を高めていくことにしました。譲与税はこれまでも再造林、樹下植栽、下草刈り、除間伐、作業路補修等の補助に活用されてきました。

 令和6年度からは国民一人当たり1000円の森林環境税が賦課されます。町への配分も今よりも増額される見通しで、手入れされていない人工林や有用な樹種の少ない広葉樹林の解消に向けた取り組みを進め、森林・林業・木材産業ゼロカーボン施策の推進に大きく寄与するものと期待しています。

滝上町長 長屋 栄一

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