まちづくり景観条例と略式代執行
長年の懸案だった芝ざくら滝上公園下にある倒壊の恐れのある危険家屋の解体撤去に、ようやくこぎ着けました。
滝上町が童話村をまちづくりのテーマとしたのは平成2年で、これまで住民の皆さんの協力で、町内会花壇や各家庭でのガーデニングなど環境美化に取り組んできました。これをさらに加速するため、平成25年に自然と調和した農村景観を守り、つくり、育てることを目的とした「滝上町童話村まちづくり景観条例」を制定しました。この背景には、平成23年12月に開かれた第8回まちづくり審議会でも空き家や廃屋などが話題になり、町として空き家と廃屋の調査と共に景観形成の方針を検討すると答えています。そして平成25年にまちづくり景観条例が施行され、屋根と壁の色彩統一の色合い、廃屋の解体事業が始まりました。
条例施行から8年が経過し、これまで事業を実施した色彩統一の件数は251件、廃屋解体が193件。また、平成27年からは定住促進目的に始めた住宅の新築や改修に対する補助「ずっと住まいるたきのうえ!」でも色彩統一を条件とし54件、合わせて305件となり、景観づくりは浸透してきたものと思います。
町並み形成は一朝一夕で出来るものではなく、何世紀もかけて作られるものです。町長室にある「旅の絵本」は、かつてヨーロッパを旅した体験から理想の集落を描いた絵本作家安野光雅さんの作品で、童話村のヒントになったとも聞いています。
こうした取り組みをを進めてきた一方、取り残された廃屋が目立つようになって来ました。中でも公園下の旧旅館は持ち主が亡くなり、時間の経過とともに老朽化が著しく、景観を損ねるのはもちろん、強風時にはトタンが飛ぶなど近隣に危険が及ぶ状態になって、町民の皆さんからも早く解体してとの声も多く寄せられていました。どのように進めるのがよいか弁護士と相談し、30人を超える相続権者全員の相続放棄の手続き、さらに空き家等対策計画を策定し、解体に関わる費用に対しては空き家法に該当する補助が対象になることを確認のうえ、各種手続きを経て、このほど現場にて特定空き家の略式代執行を宣言し、解体に着手しました。
私も中をのぞいてみましたが、天井は半分崩れかけ、営業を辞めてから相当年月がたち,内部は苔に覆われシダも生えており、分別作業が大変だと感じました。解体後の土地については、次のステップになりますが、懸案の一つに着手でき安堵しています。
建物や土地は相続の手続きをしていないと,時間が経つにつれ相続権者が増え、それに伴って調べる時間と費用も増えますから、早めの手続きが肝心です。
滝上町長 長屋 栄一